福井県あわら市の北潟湖で12月1日、冬の風物詩・寒ブナ漁が始まった。穏やかな湖に仕掛けた網を漁師たちがゆっくりたぐり寄せ、初日はまずまずの漁獲となった。
同湖の寒ブナ漁は、水温が下がり動きが鈍っているフナを、地引き網で群れごと捕る伝統漁法。網元の茶谷嘉雄さん(56)が継承している。
午前8時半ごろから茶谷さんらが舟に乗り、長さ約200メートルの網を湖に仕掛けた。北潟漁協組合員ら約20人が1時間ほどかけ網を陸からたぐり寄せ、銀色の魚影が見え始めると「いるぞ、いるぞ」「フナか、ヘラ(ヘラブナ)か」とざわついていた。
同漁協の田端和英組合長によると、この日はマブナとヘラブナが合わせて300匹ほど捕れ、コイやスズキもかかった。茶谷さんは「これから水温が下がると漁獲量が増え、フナの身は締まり甘みが増す。刺し身がうまいよ」と話していた。
寒ブナ漁は来年3月末まで。フナやコイは茶谷水産で扱っているほか、市内のスーパーなどにも出荷する。