植樹できる大きさに育ったツバキをいとおしげに見つめる岡崎さん(前列左)と寺内さん(同右)=金沢市中央公民館彦三館

植樹できる大きさに育ったツバキをいとおしげに見つめる岡崎さん(前列左)と寺内さん(同右)=金沢市中央公民館彦三館

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豪姫にちなむ ツバキが5月に八丈島へ

北國新聞(2021年3月1日)

 加賀藩祖前田利家の4女にちなんで名付けられたツバキ「金沢豪姫」の木が5月、金沢から豪姫の夫宇喜多秀家が流刑された東京・八丈島へ贈られ、植樹される。豪姫をしのぶ石川県内の有志が、豪姫の菩提寺(ぼだいじ)に植えられた木から枝を切り取り、3年かけて育てた。夫妻から始まった石川と八丈島の縁を真っ赤な大輪で深める。
 「金沢豪姫」は、ツバキの品種改良に取り組む金沢市の千田清司さん(83)が作った品種で、2009年に農林水産省に登録した。千田さんは同年、豪姫の菩提寺である浄土宗大蓮寺(だいれんじ)(金沢市野町2丁目)に木を寄贈。夫妻の供養塔の脇に植えられた木は高さ3メートルほどに育っている。
 八丈島での植樹を思い立ったのは、豪姫に関心を持つ歴史愛好家の岡崎惠子さん(61)=内灘町=。知り合いで園芸が趣味の寺内芳江さん(74)=同=に協力を仰ぎ、18年5月に大蓮寺の木から枝を採取した。
 寺内さんは、日当たりや水はけ、肥料の量に気を配りながら自宅で6個の鉢植えを丹精した。背丈10センチほどだった枝は、3年たって最大約60センチと、植樹できるまでに育った。
 岡崎さんと寺内さんは20日、金沢市中央公民館彦三館でツバキの育ち具合や、木の脇に設置する看板の出来上がりを確かめた。3年前、八丈島の秀家顕彰会「久福(きゅうふく)会」のメンバーらが金沢を訪れた際、野田山の前田家墓所などを案内した市観光ボランティアガイド「まいどさん」らも集まり、「立派に育ったねえ」と目を細めた。
 岡崎さんは5月23日の豪姫命日に合わせ、ツバキを携えて八丈島を訪れる予定で「植樹をきっかけに、夫妻の歴史物語を石川と八丈島の双方でもっと広めたい」と話した。

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