南北朝から江戸時代までの漁村の歴史や暮らしを伝える古文書9点が並ぶ特別公開展=5月12日、福井県小浜市の県立若狭歴史博物館

南北朝から江戸時代までの漁村の歴史や暮らしを伝える古文書9点が並ぶ特別公開展=5月12日、福井県小浜市の県立若狭歴史博物館

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若狭・常神半島の漁村、歴史知って 大音家文書9点を紹介

福井新聞(2021年5月13日)

 常神半島の神子(みこ)(現福井県若狭町神子)を統括していた大音(おおおと)家に伝わる8566点の文書群「大音家文書」の一部を紹介する特別公開展が5月23日まで、小浜市の県立若狭歴史博物館で開かれている。南北朝から江戸時代までの漁村の歴史や暮らしを伝える古文書9点が並ぶ。

 大音家は、近江国伊香郡大音(いかぐんおおと)(現在の滋賀県長浜市木之本町大音)の出身。南北朝時代までに神子に移り住んだとされる。文書群は2019年、子孫から同博物館に寄託された。20年には、全国でも珍しい漁村文書として重要文化財に指定されている。

 文書の一つとなる台帳「桐之帖(きりのちょう)」は、江戸時代の若狭地方の特産品だったころび(桐油(きりあぶら))を抽出するのに必要なキリの実の収穫に関するもの。森林資源の少ない漁村でも実を安定的に確保するため、キリの木の所有者や本数、高さなどが書かれている。▽木を枯れさせない▽木を切らない▽山などで木を見つけた場合は、台帳に記す―とキリの木の管理に関する取り決めもあり、東西を海と山に挟まれた神子では、キリの栽培が数少ない生業の一つであったと考えられる。

 その他、神子の住民の漁業権を意味する網場を記した絵図や、大音家の家系図なども展示されている。

 開館時間は午前9時~午後5時(入館は午後4時半まで)。入館料は310円で、70歳以上と高校生以下は無料。

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