福井県美浜町の久々子湖でシジミ漁が最盛期を迎えている。汽水湖のためアミノ酸を豊富に蓄えており、濃いうまみが特長という。7月4日、地元の南西郷漁協による月に1度の禁漁区での合同漁があり、ぷっくりした殻のシジミを次々とカゴに入れていった。
同漁協によると、久々子湖で採れるのは殻が黒い光沢のあるヤマトシジミ。同漁協では、約10年前に宍道湖(島根県)の稚貝を放流。さらに普段の漁場とは別に4カ所の禁漁区を設け、毎年解禁する区を変えるなどして資源を守っている。三方五湖の他の伝統漁法とともに日本農業遺産に2019年に認定された。
例年漁期は5~10月。産卵期前の5~7月は、身が肥えぷりぷりとした食感が楽しめる。この日は組合長ら8人が腰まで水に漬かり、熊手の先にカゴや網を付けたような漁具「鋤簾(じょれん)」で砂地をかいた。幅11ミリの目が施されたザル「トウシ」を湖面に浮かべてシジミを放り込み、小さなものを湖底に戻した。
3時間の作業で計56キロが採れた。ほとんどは組合員で消費するが、町健康楽膳拠点施設「こるぱ」などで味わうことができる。組合長は「塩分濃度の高い久々子湖で育ったシジミはうまみ成分のアミノ酸が豊富。ぜひ食べてみて」と話していた。