県内外からサーファーが集う羽咋市柴垣海岸で、今月に入りイルカ1頭が人に近づき、一緒に泳いだり、戯(たわむ)れたりして、話題となっている。近くの神社名から「円(まる)ちゃん」と名付けられ、「コロナ下で癒やされる」として口コミなどで人気者に。イルカを見るために訪れる人もおり、柴垣海岸の知名度も上がっている。
石川県漁協柴垣支所によると、柴垣沖では以前からイルカの群れが漁師によって目撃されている。海岸近くに住む会社員淺野威一さん(43)によると、イルカは徐々に岸へ近づき、8月に入ってから1頭がサーファーに近寄るようになった。淺野さんら地元住民は、近くの椎葉円比咩(しいはまるひめ)神社にちなみ、このイルカを「円ちゃん」と呼び、大切に見守ることにした。
県内唯一の日本プロサーフィン連盟公認プロサーファーで、柴垣海岸でビーチハウスSGMを営む井本勝也さん(43)のもとには、仲間のサーファーが撮影したイルカの動画がたびたび届く。
サーフィン中にイルカが一緒に「ランデブー」する愛らしい姿や、鳴き声を上げてすり寄る姿が映っており、イルカ目的で三重県から足を運んだ人もいる。
のとじま臨海公園水族館(七尾市)の職員は13日、調査のために訪れ、サーファーや住民が撮影したイルカの姿を確認。体長約2メートルのバンドウイルカかミナミバンドウイルカと推測した。
職員は「餌を求めて柴垣海岸に来たのだろう。どちらの種類もイルカの中では好奇心旺盛な方で、人間と遊んでいるのでは」と指摘した。その上で「野生のイルカは遊びのつもりでも、かまれるとけがをする」としてむやみに触れないよう注意を呼び掛けた。