福井県越前市白山地区と坂口地区で今年誕生した国の特別天然記念物コウノトリの幼鳥4羽が8月25日、そろって石川県七尾市に飛来したのが確認された。4羽は巣立ち以降越前市内で行動しており、県外で目撃されたのは初めて。"古里"を離れて元気に餌をついばむ姿が見られた。
4羽はいずれも雌で、6月に白山地区の人工巣塔から巣立った「春花」ちゃんと、坂口地区の人工巣塔から7月に巣立った「みそらちゃん」「みどりちゃん」「おうひちゃん」。市民団体「日本コウノトリの会」の越前市の男性によると、4羽は巣立ちの後、越前市内に滞在し親鳥と行動を共にする姿が見られたが、春花ちゃんは21日夜、坂口地区の3姉妹は22日朝を最後に確認されていなかった。
越前市内では別々に行動していた春花ちゃんと3姉妹が、七尾市ではまるで示し合わせたかのように一緒に行動する様子が見られた。発見した同会の金沢市の男性によると、4羽は田んぼで羽を休めつつ、時折餌をつついていたという。男性は「隣県で生まれた個体が、そろって来てくれて感動した」と喜んでいた。
県自然環境課によると、コウノトリは幼いころ、血縁に関係なく群れをつくって行動することがあるという。越前市農政課の課長は「幼鳥は必ずしも生まれ育った場所に帰ってくるわけではない。飛び立った先でも元気に育ってほしい」と話していた。