富山県富山市八尾地域の「おわら風の盆」が新型コロナウイルスの影響で2年連続中止となる中、越中八尾観光協会は11月から「おわら特別ステージ」を八尾曳山展示館ホール(同市八尾町上新町)で開く。県民謡越中八尾おわら保存会の11支部が特色あるおわらを披露する。伝統文化の継承のため担い手に発表の場を設け、大幅に落ち込む地元の観光需要を回復させる狙いだ。
特別ステージは来年3月まで土日祝日に開催し、計33回を予定。各支部が3回ずつ担当し、踊りや地方衆による演奏の披露のほか、手習いも計画している。
コロナ禍の前は保存会のメンバーが月に2回、観光客向けに「風の盆ステージ」を開催してきたが、感染拡大を踏まえ昨年3月以降は休演している。おわらの発表の機会がなくなり、地元では伝統の継承が難しくなるとの懸念が出ていた。
同協会の杉山峰夫会長は特別ステージについて「地域の活力を呼び戻したい。住民や観光客の心も、八尾の経済も動かすような取り組みになればいい」と話す。鑑賞料500円。
富山市は開催費用を支援するため2075万円を30日に発表した一般会計補正予算案に盛り込んだ。予算の一部で八尾地域の散策に使える「八尾おもてなしパスポート」を市内宿泊者に配布する事業も行う。1万部作成し、曳山展示館とおわら資料館の無料入館券や飲食店の割引券、おわらグッズの引換券が含まれる。