いけばな草月流第3代家元で、陶芸、映画監督、書など幅広い分野で活躍した勅使河原(てしがわら)宏さん(1927~2001年)をしのぶ芸術祭(福井新聞社後援)が10月1日、福井県越前町の越前陶芸村で始まる。越前焼の花器を使った生け花をはじめ、遺作のオブジェ、竹のインスタレーションなどの作品を展示。勅使河原さんが陶芸に没頭した「草月陶房」も一般公開する。芸術祭は10日まで。
県などによる勅使河原さんの没後20年特別企画。
遺作オブジェは草月陶房をメインに展示。土管などをイメージした陶器には草月流の会員が枯れたハスの葉や、和紙を貼り付けた流木などを挿した。ハスの葉は陶房の倉庫に残っていたもので、勅使河原さんが生きていたころのものとみられる。
拳の跡が残る皿や、書き損じの越前和紙を使ったコラージュ作品も並べられ、勅使河原さんの芸術に対する情熱や世界観が伝わってくる。
竹のインスタレーションは2作品を展示。草月流福井県支部会員が手掛けた「むすぶ」は、歴代家元と会員との結び付きをイメージ。東京の本部会員による「越前舞竹不老門」は計150本の竹を使った大作で、勅使河原さんが手掛けたオペラの舞台美術などからヒントを得たという。
越前古窯博物館旧水野家住宅では、越前焼の花器を使った生け花を1~3日と8~10日の前・後期に分けて飾る。江戸末期の古民家の床の間や縁側を華やかに引き立て、玄関には梁(はり)から竹の根をつり下げた高さ約3メートルの作品を展示する。
古窯博物館天心堂では2、3日に勅使河原さんが監督した映画「利休」と「豪姫」を上映。9、10日には陶芸や生け花の体験ワークショップが開かれる。