福井県若狭地方の冬の伝統料理「にしんのすし」の出荷が10月25日、小浜市遠敷のJA福井県若狭基幹支店小浜加工センターで始まった。身欠きにしんと旬のダイコンを米こうじで漬け込み発酵させた逸品。ダイコンの甘みが特徴でファンも多いという。正月の定番料理でもあり、12月中旬に出荷のピークを迎える。
2日間塩漬けしたダイコンと、コメのとぎ汁で戻した身欠きにしんを、米こうじ、みりん、トウガラシと一緒に10日間たるで漬け込んで作る。同センター園芸振興課の清水課長補佐によると、小浜市などを流れる北川沿いの米どころに主に伝わる料理で、北前船に由来する食文化だという。
加工センターでは午前8時半ごろから職員2人が作業を始めた。たるから厚さ1センチほどの半月切りのダイコンを取り出してパックに詰め、一番上にニシンを2切れのせてふたをし、「伝承の味 にしんの寿(す)し」と書かれたシールを貼って完成。加工台には70パックがずらりと並んだ。
お水送りがある3月上旬まで生産し、例年約2500パックを出荷する。1パック250グラムで税込み432円。小浜市内のAコープやJAの直売所で販売する。
自前で作る家庭は減っているものの、この季節は米こうじや身欠きにしんの箱詰めもよく売れているという。清水さんは「添加物は入っておらず、飽きのこない味。好きな人は1パックをすぐ平らげてしまう」と話していた。