色鉛筆で描かれた花の作品群に見入る来場者=金沢21世紀美術館

色鉛筆で描かれた花の作品群に見入る来場者=金沢21世紀美術館

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吉村芳生展 「最高の美」響き合う

北國新聞(2021年10月30日)

 金沢21世紀美術館で開催中の2021ビエンナーレいしかわ秋の芸術祭「第6回日展石川会展」(北國新聞社主催)で、今年の第8回展の最高賞を射止めた松崎十朗さん(日展会員、金沢市茨木町)と、大樋長左衛門さん(日展会員、同橋場町)の過去作が視線を集めている。同じ会場では、超細密な鉛筆画が並ぶ「超絶技巧を超えて吉村芳生展」(北國新聞社主催)も開かれており、愛好者が「最高の美」の響き合いを堪能した。

 28日に行われた第8回展の大臣賞選考では、日本画部門で松崎さんが内閣総理大臣賞、工芸美術部門で大樋さんが文部科学大臣賞に選ばれた。日展石川会展には、19年の第6回展と20年の第7回展に出品された地元作家の125点が並ぶ。

 松崎さんの第7回展出品作「静かな時」は、鈍色(にびいろ)の空を映した静謐(せいひつ)な志賀町の海を描き出している。大樋さんが第7回展に寄せた陶芸作品は、大地の力強さを表現したダイナミックな造形が存在感を放つ。いずれの作品も第8回展の最高賞受賞作に通底するテーマと美意識がうかがえ、来場者がじっくりと目を凝らした。

 31日まで。入場料は800円(高校生以下無料)。松崎さん、大樋さんの受賞作は29日に東京の国立新美術館で始まった第8回展で11月21日まで展示される。

 県立美術館では、松崎さんの個展「REFLECTION-光の記憶-」が開かれており、過去の日展出品作や新作15点が並ぶ。12月5日まで。

 吉村芳生展には、リアリズムを追求した鉛筆画を一目見ようと多くの鑑賞者が訪れた。色彩豊かな花のシリーズは、吉村さんが郷里・山口県へ制作拠点を移した1985年以降の作で、それまでのモノクロームの風景や自画像と雰囲気を一変させている。

 ケシや藤の花を描いた後、紙やすりやガムテープで画面に白くダメージを加えた作品などもあり、来場者は新たな表現を模索した作者の思いを感じ取った。11月21日まで。入場料は一般千円、中高生700円、小学生500円。

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