会場に並ぶ立派な菊の数々は、福井県越前市内の愛好家でつくる武生菊花同好会の会員が丹精込めて育てた大菊だ。1952年の第1回から欠かさず出展している同会は、たけふ菊人形に欠かせない存在。その高い栽培技術は、全国の愛好家の注目の的となっている。
たけふ菊人形の会期は、本来の菊の開花時期(11月初めごろ)より1カ月ほど早い。戦後、全国各地で菊作りが盛んに行われる中、たけふ菊人形に注目を集めようと開幕時期を10月中旬に決めたとされている。
同好会の会員は、たけふ菊人形の開幕に合わせて菊を開花させる卓越した技術を持つ。菊を暗室に置いたり、遮光するための袋をかぶせたりして日照時間を調整。つぼみを毎日観察し、確実に花を開かせる。
会場には盆栽風の菊や、懸崖などさまざまな作品が並ぶ。特に会員の技術が光るのは、1株から七つの大菊を咲かせる「大菊七本立」。一つ一つの花の大きさや高さまで緻密に調整されている。一株で3色の花が楽しめる「接ぎ木」もユニーク。土台となるヨモギに菊を挿したもので、きれいな花を咲かせるには高度な技術が必要という。
同好会の会長は「放っておいてもきれいな菊は咲かない。菊人形にきれいな菊を並べるため、みんな熱中して育てている」と話している。
会期は7日まで