国の文化審議会(佐藤信会長)は21日、北陸地方特有の婚礼用具である七尾の花嫁のれんなど103点を登録有形民俗文化財とするよう末松信介文部科学相に答申した。登録されれば、2013年の「金沢の売薬製造・販売用具」に続き、県内2例目となる。婚礼儀礼や染織文化の地域的な様相を理解する上で貴重な資料となる。
答申された「七尾の嫁暖簾(よめのれん)」は、七尾市一本杉町会と一本杉通り振興会でつくる一般社団法人「七尾家(ななおや)」が所有する。明治から平成の花嫁のれん93点のほか、夏に座敷のふすまを外して使う「夏のれん」、婿入りした男性が使用する「花婿のれん」で、同市の「花嫁のれん館」で常時20枚程度が展示されている。
「花嫁のれん展」(北國新聞社後援)が開催されるなど地域が中心となって伝統を継承し、活用している姿勢も評価された。
七尾市教委によると、花嫁のれんの風習は江戸時代末期、加賀藩の領地である加賀、能登、越中で武士階級を中心に始まり、徐々に一般市民に広まった。嫁入りする女性が生家から持参し、婚礼当日に婚家の仏間などに掛け、くぐることで婚家の一員に認められる。
県内では、近代建造物を中心に129カ所282件が登録有形文化財に登録されている。