外産のジルコンの宝石(左)と、ジルコンを含む宇奈月の石=富山市科学博物館

外産のジルコンの宝石(左)と、ジルコンを含む宇奈月の石=富山市科学博物館

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国内最古は宇奈月産 ジルコン誕生石に追加

北日本新聞(2022年1月24日)

 誕生月にちなんだ宝石「誕生石」が63年ぶりに改訂され、黒部市宇奈月地域ゆかりの鉱物ジルコンなど、10種類が追加された。宇奈月では日本最古となる約38億年前のジルコンが見つかっている。県内の専門家は「日本列島の成り立ちを考える上で重要な石。宝石をきっかけに、宇奈月のジルコンを知ってもらいたい」と期待する。

 日本の誕生石は1958年、アメリカの宝石商組合が決めた誕生石を基に制定された。国内で定義にばらつきがあったため、全国宝石卸商協同組合が昨年12月、複数の団体と連携して改訂し、全29石になった。

 ジルコンは12月の誕生石。富山市科学博物館の増渕佳子学芸員(地質学)は「屈折率が高く、強い輝きを放つ」と語る。時間とともに一部が鉛に変化し、無色透明からピンク色、褐色へと変わる。宝石のジルコンは加工で色を変えている。

 日本最古となる宇奈月のジルコンは、国立科学博物館や国立極地研究所などのグループが発見。日本列島は南中国地塊の縁で形成されたと考えられてきたが、このジルコンは北中国地塊との関連を示唆する珍しいものだったことが2010年に分かった。

 サイズは0・1ミリほどで宝石には加工できないが、日本列島誕生の秘密を解き明かす可能性とロマンを秘めている。北陸新幹線黒部宇奈月温泉駅に隣接する市地域観光ギャラリーなどで展示している。

 県内の山地などでは、南砺市大鋸屋(城端)でムーンストーン(6月)、朝日町でヒスイ(5月)やガーネット(1月)、南砺市利賀村でサファイア(9月)などの誕生石が採取できる。一部は富山市科学博物館で常設展示している。

 増渕学芸員は「宝石から地質学に関心を持ってもらえたらうれしい。ただし、危険なので絶対に取りに行かないで」と話している。

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