井波彫刻を説明する南部代表(左)=加賀市の歴町センタービル

井波彫刻を説明する南部代表(左)=加賀市の歴町センタービル

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加賀・大聖寺と井波、彫刻縁に交流 景観形成や地域振興、まちづくりで意見交換

北國新聞(2022年4月10日)

  ●7人が視察

 加賀市大聖寺地区と南砺市井波地区の有志が、井波彫刻の技を生かした城下町の景観づくりに向けて交流を始めた。大聖寺に井波彫刻の欄間(らんま)を備えた歴史的建造物が多いことが縁で、互いのまちづくりの知見や伝統技術の情報を交換しながら、良好な景観形成と地域振興につなげる。9日は活動の第1弾として井波彫刻師らでつくる「木あそび工房」のメンバー7人が大聖寺を視察した。

 井波彫刻の職人は、加賀藩前田家の拝領地大工の流れをくみ、全国で欄間制作に携わった。大聖寺の歴史的建造物にも、井波彫刻の欄間が確認されている。

 井波彫刻の技術を各地のまちづくりに生かしたいとPRの場を探していた木あそび工房の存在を、武田慎一富山県議が宮元陸加賀市長に紹介した。

 木あそび工房の一行は、まちづくり団体「歴町センター大聖寺」の案内で、藩政期に建立され焼失後に同団体が再建した時鐘堂、地元の児童生徒が能を学ぶ能楽堂などを見て回った。

 加賀市指定文化財「旧新家家住宅」を改装し、歴史文化施設となっている築75年の鴻玉荘(こうぎょくそう)では、参加者が井波彫刻の欄間が内装に用いられていることを確認した。

 視察後は歴町センタービルで大聖寺、井波両地域の歴史文化を説明し合った。木あそび工房の南部白雲代表らは、井波別院瑞泉寺の門前町として井波の町が発展した歴史を解説し、井波彫刻の看板や表札を紹介した。

 今後は大聖寺のメンバーが井波を訪問する方向で検討する。歴町センター大聖寺の瀬戸達事務局長は「井波との縁を大切にし、大聖寺のまちづくりに生かしていきたい」と話した。南部代表は「今回の訪問をきっかけに大聖寺と交流を深めたい」と期待した。

  ●ヒストリーデザイン協発足

 加賀市大聖寺地区の歴史資源を活用した景観づくりを進める組織「大聖寺ヒストリーデザイン協会」は9日、同市内で発足した。景観形成の有識者や郷土史家、まちづくり団体の関係者らが参加した。まちづくりに取り組む市や学校などに、助言したり講師を派遣したりして「城下町大聖寺」の個性を生かしたまちづくりを後押しする。

 大聖寺ヒストリーデザイン協会は、まちづくり団体「歴町センター大聖寺」が中心となって設立した。会長には都市デザインが専門の坂本英之金沢美大名誉教授が就いた。西村幸夫東大名誉教授や文化財保存計画協会の矢野和之代表らがアドバイザーとなった。要望に応じてアドバイザーを紹介する。

 同日、JR大聖寺駅前の歴町センタービルで発足式が行われ、関係者12人が出席した。坂本会長は「歴史的資源や景観的資源を活用して、地域の発展に貢献したい」と話した。

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