外壁などの改修工事を終えた串茶屋民俗資料館。看板も新たに設置した=小松市串茶屋町

外壁などの改修工事を終えた串茶屋民俗資料館。看板も新たに設置した=小松市串茶屋町

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半世紀ぶり外装一新 小松・串茶屋民俗資料館 築193年、明治天皇立ち寄り

北國新聞(2022年4月23日)

 明治天皇が立ち寄った歴史がある小松市串茶屋町の串茶屋民俗資料館が、22日までに約50年ぶりの改修を終えた。傷んだ外壁や屋根が修復された上、193年前の建築当初にあった建物東側の入り口も再び作られた。加賀藩お抱え絵師の作と伝わる天井画など貴重な品々と歴史があるだけに、交流拠点として後世に受け継ぐ。

 修復は串茶屋町内会が行った。風雨にさらされ傷んでいたトタン壁や屋根、雨どいを修復し、屋根裏の電気配線も老朽化していたため一新した。

 資料館の建物は1829(文政12)年、造り酒屋の客殿として建てられた。建築当時は旧北國街道に面する東側に入り口があったことから、改修時に東側にも入り口を設けた。総工費は約600万円で、市の補助金を活用した。

 改修工事は昨年8~11月に実施し、新型コロナ感染防止のため工事後も休館していた。今年4月14日に、館の世話人を務める串町の上野元芳さん(79)が、串茶屋町の歴史をまとめて日本語と英語で併記した看板を立て、一般公開を再開した。看板には、街道沿いに茶屋などが連なっていたことを紹介するイラストを添えた。

 資料館は、明治天皇が1878(明治11)年10月6日、北陸巡幸の際に「御小休所」として利用した。1927(昭和2)年に現在の能美市寺井地区に移築され、その後43年に串茶屋町へ戻された。加賀藩お抱え絵師として活躍した佐々木泉景(せんけい)が描いたとされる天井画「雲龍」や襖絵(ふすまえ)が残り、透かし彫りの欄間などもある。

 かつて茶屋街だった地域の歴史を伝える遊女の手紙53通も保管し、遊女が使用したかんざしや印籠など約100点を展示する。

 館長でもある河端藤男町内会長(67)は「先人が残した資料を大切に受け継ぎ、歴史に関心を持つ人が集う拠点にしていきたい」と語った。

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