ペンギンのキャラクターが主人公の缶ビールのテレビCMなど大きな話題となった広告を数多く手掛けた福井県坂井市のアートディレクター、戸田正寿さんの大規模個展「"創造する広告⇔アート⇔新しい光" 戸田正寿の世界」(福井新聞社後援)が7月15日、福井市の県立美術館で開幕した。1970年代から半世紀近い広告制作の軌跡を紹介している。
県立美術館、福井テレビでつくる実行委員会が主催。アートディレクターとはクライアント(発注者)からの要望をデザインで具現化する総責任者。指揮した広告ポスターや新聞広告、CM映像のほか、近年取り組むクリスタルアートなど計約430点を披露している。
戸田さんは三国高卒業後上京。高島屋宣伝部、日本デザインセンターを経て76年に独立。国内外の広告賞を受賞するなど、広告業界のトップを走ってきた。
代表作の一つが82~84年のサントリーの広告。ペンギンの恋愛模様をアニメーションで描いたビールのキャンペーン、吟遊詩人ランボーや建築家ガウディをテーマにした物語性の高いウイスキーのキャンペーンとも大きな反響を呼んだ。
伊勢丹の86~95年のファッションキャンペーンも手掛けた。活動は広告の枠にとどまらす、2008年の北海道・洞爺湖サミットでは会場演出を担った。
戸田さんは「特に若い人に足を運んでほしい。私は高校3年間で美術部顧問の小野忠弘先生からすべてを教わり、本物とは何かを学んだ。アートにおいて、よいものを子どもに見せることは後にかたちになる」と話した。
会期は8月31日まで。一般1200円、高校生800円、小中生500円。