塩の一大産地だった歴史を知ってもらい敦賀のPRにつなげようと販売を始めた「角鹿の塩」=福井県敦賀市公文名の「LABwel」

塩の一大産地だった歴史を知ってもらい敦賀のPRにつなげようと販売を始めた「角鹿の塩」=福井県敦賀市公文名の「LABwel」

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敦賀湾の海水を使った天然塩「角鹿の塩」発売 敦賀の障害者事業所が手作り

福井新聞(2022年8月18日)

 古くは海辺で塩を焼く煙が上るなど製塩業が盛んだった福井県敦賀の歴史を知ってもらおうと、障害者福祉サービスの「LABwel(ラボウェル)」(敦賀市公文名)がこのほど、手作りの「角鹿(つぬが)の塩」の販売を始めた。敦賀湾の海水を使った天然塩で、ミネラル豊富なまろやかな味わいが特長。担当者は「敦賀の魅力をPRしたい」と意気込んでいる。

 市史などによると、古墳時代の製塩遺跡が見つかるなど敦賀は日本海側有数の産地で、万葉集にも塩作りの様子を詠んだ歌があるほど。しかし、江戸時代から瀬戸内海沿岸で効率的に大量の塩が作られ始めると次第に衰退し、戦後はほぼ作られなくなったという。

 「歴史を生かして敦賀らしい名産品を作れないか」と塩作りを企画。飲食も手掛ける同社の移動販売事業で、従業員がおにぎりを作る時に思いついたという。従業員や就労継続支援事業所の利用者の力を借り、今春から作業を始めた。

 敦賀湾の海水をポリタンクにくんでろ過し、同市和久野の作業場で平釜を使って炊きあげる。天日干しなどで乾燥させた後、異物が混入していないかのチェックや袋詰めを経て完成。全て手作業のこだわりの逸品だ。

 塩は7月22日から販売。通常と粗塩、容器はボトル(90グラム)、袋入り(160グラム)がある。いずれも600円(税込み)。今冬には、同社の畑で育てるレモンを使ったレモン塩も販売予定。ゆくゆくは山わさび塩も売り出すという。

 商品名は日本書紀が伝える逸話にあやかった。かつて天皇になろうとした有力者が滅ぼされる時、あらゆる塩に呪いをかけたが「角鹿の塩」だけかけ忘れた。そのため、唯一天皇の食料に扱われたという。担当者は「由緒ある塩を味わってみて」と話していた。

 個別に発送するほか、平日敦賀駅に出店するキッチンカーで販売する。問い合わせは角鹿の塩販売担当=電話0770(47)6979。

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