和紙の耳に墨で色を付けパネルに貼り付けた杉本さんの作品=10月3日、福井県越前市粟田部町の大和屋ギャラリー

和紙の耳に墨で色を付けパネルに貼り付けた杉本さんの作品=10月3日、福井県越前市粟田部町の大和屋ギャラリー

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「今立現代美術紙展アートキャンプ2022」紙の表現、多彩 10月16日まで越前市今立地区内9会場で展示

福井新聞(2022年10月4日)

 国内外の芸術家が福井県越前市今立地区に滞在し、和紙を使って制作した作品を展示する「今立現代美術紙展Art Camp(アートキャンプ)2022」(福井新聞社後援)が開かれている。地区内の9会場で和紙の表現を追求した力作が披露されている。10月16日まで。

 参加アーティストは、福井県内をはじめ神奈川、大阪、京都の各都県、シンガポールなど国内外から公募で集まった22人と、招待作家のフランス、富山などの3人、特別招待の1人の計26人。

 大和屋ギャラリー(越前市粟田部町)では6人が展示している。杉本博さん(同市)は、すき上がった和紙の側面である「耳」を主に扱った。「和紙の中で唯一、個性的な部分は耳」という杉本さんは、墨で色を付けた耳を千枚以上パネルに重ねている。

 美術家ユニット「Creative Unit SALULAS」のメンバー岸本光越さん、飯田憲裕さん(ともに越前町)による「Archelon(アーケロン)」は、空間全体で「胎内」を表現した。和紙を貼り付けた四角柱の木材が暗闇にいくつも並べられ、ライトに照らされている。

 国の登録有形文化財、西野家住宅(定友町)では、8人が展示している。新型コロナウイルス禍で地元インドに帰国できなかったカルティカ・メノンさん(岐阜県)は、自身の家族について客観的に捉えようと試み、祖母をテーマに2作品を制作した。

 一つ目の作品は、幼少期に祖母の庭で拾ったビンロウジを和紙で再現し、敷地内に生えている樹木の上部にぶら下げた。中を開くと、祖母から聴き取った話の文章が読める仕組み。普段聞かないことを聞き出すのは困難なことに着想を得て、「棒でたたき落として読んでほしい」とメッセージが添えられている。

 全会場共通の入場料は大人千円、高校生以下無料。チケットは同市の卯立の工芸館などで販売しており、会場には置いていない。

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