第31回北國水墨画展(石川県水墨画連盟、北國新聞社、北國新聞文化センター主催)は16日、金沢市の県立美術館で始まった。墨の濃淡や余白によって風景や人物、動植物などを描いた県内作家らの力作59点が並び、来場者は一枚一枚をじっくりと鑑賞して余情あふれる多様な美を堪能した。
北國水墨画展は、水墨画の愛好者が会派を超えて集い、日々の研鑽(けんさん)を披露する展覧会となる。今回は一般公募の部で入選した38点と、審査員、出品委嘱の21点が展示された。
最高賞の北國新聞社社長賞となった所村勲さん(内灘町)の「寒中無人駅」は哀愁漂う駅のホームを荒々しい筆遣いを交えて表現した。北國新聞文化センター理事長賞に選出された上田芳風さん(能美市)の「参道」は石段の存在感を浮かび上がらせた。
会員奨励賞に選ばれた小寺悠風さん(小松市)の「静(せい)」は森の厳かな雰囲気とわずかに差し込む光の神秘さを描いた。田園風景や迫力ある太鼓の演奏を描いた作品などが並び、来場者は「心に刺さる」「音まで聞こえてきそう」などと感嘆しながら、自然の美しさや人間の生命力を感じ取った。
会期は20日まで。入場料は500円で、中学生以下は無料となる。