作品を鑑賞する来場者=金沢市の石川県立美術館

作品を鑑賞する来場者=金沢市の石川県立美術館

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金属の魅力表情豊かに 石川県立美術館「かねは雄弁に語りき」 古美術や現代まで85点

北國新聞(2023年1月5日)

 石川県立美術館の金属コレクション展「かねは雄弁に語りき」(北國新聞社特別協力)は4日、金沢市の同館で開幕し、古美術から現代までの85点が一堂に会した。約4千点の収蔵品を新たな視点で紹介するために、初めての試みとして若手学芸員が専門分野の垣根を越えて企画した。来場者は柔らかさや鋭さ、光沢、ぬくもりなど表情豊かな金属の魅力を存分に楽しんだ。

 同展は「用途と美」「超絶のわざ」「金属という表現」の3章構成。会場には、江戸期の刀や脇差、初代宮崎寒雉(かんち)の茶釜などの茶道具、加賀象嵌(ぞうがん)作家の米沢弘安氏や高橋介州氏の香炉やつぼ、現代的な金属彫刻など幅広い分野の作品が並び、時代を超えた金属の美を示した。

 若手ならではの工夫も来場者の心を捉えた。鉄の輪を連ねて作られた「鉄自在蛇置物」は、実際に動かしている動画と一緒に展示され、初代魚住為楽、三代魚住為楽両氏が手掛けた「砂張銅鑼(どら)」では、実際の音を流して聞き比べできるようになっている。

 開会式では、青柳正規館長があいさつで「この展示は、若手が新たな視点でコレクションを紹介する企画展の第1弾だ」と趣旨を説明。「漆のように柔らかく生命力にあふれた輝きを持つ金属の魅力に、私自身も引かれた。幅広い分野、時代の作品を多くの人に見てほしい」と期待した。

 式後、関係者を対象に行われた展示品の紹介では、若手学芸員が作品の隠れた魅力を伝えた。加賀出身の金工作家山田宗美(そうび)の「鉄打出鳩置物」について、学芸員の奈良竜一さんは「1枚の鉄板をたたいて作られている労作。見た目は重そうだが、1キロもなく意外に軽い」と説明した。

 同展は2月5日まで。観覧料は一般600円、大学生400円で高校生以下無料。期間中は若手学芸員によるギャラリートークや講座も開かれる。

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