権力者に庇護されながら発展した越前和紙の歴史を伝える古文書の企画展=1月25日、福井県越前市の紙の文化博物館

権力者に庇護されながら発展した越前和紙の歴史を伝える古文書の企画展=1月25日、福井県越前市の紙の文化博物館

福井県 鯖江・武生・越前海岸 特産

越前市・和紙の里 庇護受け発展 戦国期の古文書展示

福井新聞(2023年1月27日)

 越前和紙の産地、五箇地区の歴史を紹介する企画展「古文書から見る和紙の里の支配者たち」は1月25日、福井県越前市の紙の文化博物館で始まった。戦国時代から江戸時代までの古文書10点が展示され、時の権力者の庇護(ひご)を受けながら紙漉(す)き文化が守られてきた推移を伝えている。3月6日まで。

 五箇地区で紙漉きが発展した背景には、周辺に多くある古代寺院で写経が盛んだったことが挙げられる。中世には大滝寺(現在の大瀧神社)の下で、和紙の生産・販売の独占権を持つ紙漉き業者の組織「紙座」が結成されていた。朝倉氏景が大滝寺に出した書状(1486年)は、府中総社の大鳥居再興のため各所に課した木材伐採を免除することを伝えており、特権を認めていたことがうかがえる。

 織田信長が越前を攻略した後に「府中三人衆」とされた前田利家、佐々成政、不破光治の連署状(1575年)も、紙座の特権を従来通りに認める内容が記されている。江戸時代には福井藩の庇護を受けたことで、江戸幕府の御用紙を漉く特権が与えられ、越前の名が全国に知られるようになったという。

 市産業政策課は「めまぐるしく移り変わった支配者たちにとって、質の良い紙の確保は最優先だったことがうかがえる。古文書からその歴史を感じてもらいたい」としている。入館料は大人200円(卯立の工芸館との共通料金)、高校生以下無料。火曜休館。

えきねっと びゅう国内ツアー

鯖江・武生・越前海岸 ニュース

鯖江・武生・越前海岸
イベント

鯖江・武生・越前海岸
スポット