しずくの形で全方位に刃がついた「大貞の万能くわ」(左)と楽に草が刈れる「ノコギリ小鎌」=長岡市与板町与板

しずくの形で全方位に刃がついた「大貞の万能くわ」(左)と楽に草が刈れる「ノコギリ小鎌」=長岡市与板町与板

新潟県 長岡・寺泊・柏崎 特産

立ったままで草刈りも楽々、「万能くわ」売り上げ好調!

新潟日報(2023年3月17日)

 新潟県長岡市与板地域の「大貞(だいてい)刃物工場」(与板町与板)が、全方位に刃が付き、耕すだけでなく、立ったまま草を刈ることもできる自社開発の「大貞の万能くわ」の売り上げを伸ばしている。国内にはこれまでになかった形状で、意匠登録もしている。作業が楽になると農家から好評だ。

 大貞刃物工場は大正期の創業で、100年以上の歴史がある。現在の代表の大久保貞一郎さん(73)は3代目。打ち刃物で有名な与板地域で、大工道具ののみを中心に製造していたが、一般向けの新製品を作ろうと、20年前から研究を続け、くわや鎌、包丁も手がけている。

 くわは約2年前、「草刈りで足腰が痛くなる」という農家の声に応えて開発。立ったまま作業できるよう、しずくの形にして全方位に刃を付けた。5種類のくわを試作し、最終的にたどり着いた形だ。畝(うね)の間の草も刈りやすく、先端のとがった部分を使うと、雑草を根っこから除去できる。平らな部分では、広範囲の草刈りや土を耕すことができる。

 1本7千円の万能くわは昨年、800本ほど売れ、一昨年の4倍となった。大久保さんは「のみの加工技術は他の物に転用しやすく、工場もあるのでいろいろと試せた。作業が楽になるので、全国の農家にも使ってほしい」と語る。

 アイデア商品は他にもある。草を手でつかまず、引くだけで刈れる「ノコギリ小鎌(こがま)」(1600円)を10年前に販売。刃を寝かせるように角度が付いているのが特徴で、簡単に草を根元から刈れる。自ら周辺の農家に売り歩くと、口コミが広まり、今は年5千本ほど売れる人気商品となった。くわも小鎌も、どちらも刃を研げば長く使える。

 現在は大久保さん含めて70代、80代の5人で、万能くわとノコギリ小鎌を中心に製造する。後継者がいないことが悩みで、大久保さんは「技術が失われてしまうので、跡を継ぐ人が欲しい」と話し、意欲のある企業や人がいれば打ち刃物の技を伝えたいとしている。

 くわや小鎌は工場で平日午前8時〜午後6時に売るほか、越後出雲崎天領の里で常設販売している。4月1、2日はなじら〜て関原店(関原町1)に出店する。問い合わせは大貞刃物工場、0258(72)4127。

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