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Object―仕掛けのある30の謎

福井新聞

 オブジェとは限りなく「正面性」を孕(はら)んでいる―。福井市出身の美術家、北川健次さんの考えだ。ガラス片や金具、錆(さ)びた時計の歯車を小さな黒い木箱に収め、壁に掛けたオブジェ。真正面から近づいて鑑賞すると、作品以外の余計なものが視界から消え、オブジェの世界に引き込まれてしまう。

 福井市松本1丁目のギャラリーサライで4月30日まで開催中の個展「Object―仕掛けのある30の謎」(福井新聞社後援)に並ぶ箱オブジェ37点。「正面性」にこそ鑑賞者を作品と対峙(たいじ)させ、想像力を引き出す仕掛けが潜むという。

 舞台芸術を劇場最前列の真ん中の席から見るのと似ている。「真正面こそ鑑賞者に見せたい虚構の世界。斜めは現実世界」。斜めからオブジェを見ると箱の外側側面という余計な部分が目に入り、現実に引き戻される。端の客席から舞台を見ると、舞台袖の黒子が見えてしまうように。

 古びた金具や歯車は、西洋絵画やモノクロ写真と組み合わさって木箱に収まる。正面から見据えると、箱の中の詩的な世界を読み解こうと想像力が働く。「バベルの塔」を定規で囲った作品は遠近感や大きさの感覚を狂わせ、見る人をいや応なく不思議な空間へと引きずり込む。

 舞台美術家を志した学生時代、三島由紀夫が主宰する浪漫劇場へ手紙を出した。直後に三島が自決し夢はついえたが、舞台演出へのこだわりはオブジェの中に息づく。銅版画、写真、コラージュ、詩作と領域を広げてきて「今が一番乗っている。自分の表現がつかめてきた」という作品形態。

 「僕は見る人の感性を揺さぶる"装置"としてオブジェを作るだけ。鑑賞者が自由に想像を膨らませることで作品が成立する。つまり作者は2人いる」

 2月に第1詩集「直線で描かれたブレヒトの犬」を出した。擬人法やレトリック(修辞)を駆使。「すべてを語らない微妙な狭間(はざま)で表現し、読み手の自由な感性に委ねている」

 6月には東京・銀座の永井画廊で版画展を予定。北川さんの才能を見いだした棟方志功、駒井哲郎、池田満寿夫の名作と一緒に自身の作品を並べる。


主催者の都合や天候等により、催しの予定が変更されることがあります。ご利用の際は、主催者等に必ずご確認ください。

詳細情報

期間
2021年4月1日~2021年4月30日
時間
10:00~19:00(最終日は17:00まで)
会場
ギャラリーサライ
住所
〒910-0003 福井県福井市松本1丁目33−24
地図
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リンク
福井のイベント情報は「ふうぷらす」⇒ https://www.fukuishimbun.co.jp/feature/fu/

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