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湊七雄 展 Island「アイランド」

福井新聞

 5月1日から31日まで、福井市松本1丁目のギャラリーサライで、強い指導者が支配する超管理社会に依存し、安定した生活と浪費を謳歌(おうか)する「すばらしい新世界」と、サスティナブルでほどほどの暮らしを送る理想郷の「島」。相反する世界を描いた英国の小説に着想を得た銅版画の新作シリーズを、版画家で福井大教授の湊七雄さんが開く個展で披露する。理想の社会像が揺れ動くコロナ禍の今を表現した12点が並ぶ。

 小説は、ディストピアとユートピアを描いたオルダス・ハクスリー(1894~1963年)の二つの代表作。対極の世界観だが「表裏一体ではないか」と湊さんは捉えた。

 「自粛警察」に代表される相互監視の風潮、過度の同調圧力、SNSでの誹謗(ひぼう)中傷、カリスマ性を備えた強力なリーダーを求める空気...。価値観のベクトルが振りきれ、コロナ前は考えもしなかった行動を悪意なくとってしまう危うい社会。「人は表と裏、善と悪が同居し、簡単にひっくり返る。二面性のある矛盾した存在だという思いを強くした1年だった」

 新作シリーズ「Island(島)」は、湊さんが創作した"物語"に基づく。何でもできる環境が整った島で、理想の社会をデザインできる権利と能力、感染症の抗体をも手にした男が主人公。無敵のはずが、何が理想か価値観が揺れ動き、行きつ戻りつ考えあぐねているうちに人生を終える―。それぞれの場面が12枚に抽象的に投影される。

 カナリアが描かれた場面もあり、ハクスリーの「島」に登場するメタファー(暗喩)的な言葉を発する鳥を連想させる。海に浮かぶ白い島と対称をなして水面に映り込む島は深く濃い緑で描かれ、簡単にひっくり返る善悪の観念や鏡に映る人間の本性を暗示させる。

 「一人の表現者として、時代をどんな視点でとらえたかが問われている」。「今」の生々しい感性を反映させようと、つい最近までアトリエにこもって銅板と向き合ってきた。


主催者の都合や天候等により、催しの予定が変更されることがあります。ご利用の際は、主催者等に必ずご確認ください。

詳細情報

期間
2021年5月1日~2021年5月31日
時間
10:00~18:00(最終日は17:00まで)
会場
ギャラリーサライ
住所
910-0003 福井県福井市松本1丁目33−24
地図
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リンク
福井のイベント情報は「ふうぷらす」⇒ https://www.fukuishimbun.co.jp/feature/fu/

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