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企画展「視覚を超えて 八田豊-90歳さらなる挑戦」

福井新聞

 7月15日から9月12日まで、越前市武生公会堂記念館で、企画展「視覚を超えて」が開かれる。

 視力を失っても創作をあきらめず、聴覚と触覚を研ぎ澄ませて唯一無二のアートを生みだしてきた91歳の現代美術作家、八田豊さん。「食料や空気と同じ。暮らしに芸術がなければ心は飢え、人は窒息してしまうんだよ」。コロナ禍の逆境と混とんを生きる現代人の道しるべとして、輝きを増す不屈の生涯。その歩みをたどる。

 中学の美術教師になった1951年、福井の前衛芸術をけん引した北美文化協会に参加。指導者の土岡秀太郎や個性豊かな仲間に触発され、当初描いていた具象画はキュビスムを思わせる画風を経て、円や直線を組み合わせた抽象画へと変化を遂げた。

 さらなる新境地を求めた60~70年代、絵筆を鏨(たがね)に持ち替える。パルプボードや金属板に無数の円を規則的にずらして線刻する「カービング」で名をはせたが、制作過程で酷使した目は徐々に視力を失った。

 完全に光を失った90年代、再び絵の具を手にしてキャンバスに向き合った。斜めにしたキャンバスに絵の具を垂らし、キャンバスの端から滴り落ちる音に耳を澄ませて制作したのが「流れより」シリーズだ。

 絵の具がキャンバスを滑る速さや、キャンバス上に残った水分量の差が生みだす音の違い。「聞き分けられた瞬間、作品は偶然の産物ではなくなった」。鋭敏な聴覚でコントロールされたストライプの色彩美は、不屈の生涯を象徴する八田作品の代名詞となった。

 「雨に降られれば雨宿りもするだろうが、いざとなれば傘を買うなり、雨がっぱを着込むなりして目的地に向かうものだ。困難が生じても目標さえあれば、いろいろ考え、残った能力を総動員する。悲観的にもなるが、大丈夫。そうやって自分を励ましてきた」

 衰えぬ創作意欲は新たな素材を求める。90年代半ば、和紙原料のコウゾの皮をキャンバスなどの上に触覚を頼りに貼り合わせたシリーズ「流れ」を発表。素材を地域資源に求める姿勢は、地方美術運動のオーガナイザーとして93年から主宰する丹南アートフェスティバルに通じる。

 企画展「視覚を超えて」では、初期の油彩画からカービング、「流れより」「流れ」まで40~50点を展示する。会場の公会堂記念館は、80年代に高校生らと取り組んだヤングアートフェスティバルの会場で、取り壊しが取りざたされた90年代には保存運動に立った思い入れのある場所。自らの人生をひもとく舞台となることに「万感胸に迫る」という。


主催者の都合や天候等により、催しの予定が変更されることがあります。ご利用の際は、主催者等に必ずご確認ください。

詳細情報

期間
2021年7月15日~2021年9月12日
会場
武生公会堂記念館
住所
915-0074 福井県越前市蓬莱町8−8
地図
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料金
一般:500円
高校生以下:無料
障害のある方とその介助者(1人):無料
リンク
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