4月16日、福井県あわら市金津創作の森美術館で、造形作家で武蔵野美術大特任准教授の小松宏誠さんによるモビールアート(動く芸術)の企画展「光と影のモビール 森の夢」(福井新聞社共催)が開幕した。風に揺らめき、光にきらめくインスタレーションが来場者を非日常の世界へいざなっている。
武蔵野美術大に在学中、福井市出身の彫刻家土屋公雄さんと出会い、アートの世界に入った小松さん。東京芸大大学院では、モーターなど駆動装置を用いたモビールの第一人者、伊藤隆道さんに師事した。
その後、伊藤さんの教え子らでつくる動くアートの芸術家集団「アトリエオモヤ」で活動し、2014年に独立。国内外の芸術祭に作品を発表し、六本木ヒルズ(東京)など商業施設の空間装飾も手がける。
鳥のさえずりや川のせせらぎなど、森をイメージさせるサウンドに包まれた会場には、鳥の羽根を組み合わせたシャンデリアが風を受け、影とともに不規則に揺らめく。天井からつるされた数百枚の透明樹脂の円盤は、淡い照明を反射して雨粒のように輝く。
回転柱に止まったチョウのオブジェは光を浴び、動く影は生きたチョウのよう。水槽では透明樹脂がクラゲのように漂う。野外では、池の水面から顔を出したスイレンのようなオブジェが日光をカラフルにはね返している。
福井市から訪れた夫婦は「スマートフォンで撮った会場の写真や動画は、目で見た印象とはひと味違う。作品の味わい方が何通りもあって面白い」と満足そう。
16日はギャラリートークがあり、小松さんは「生まれたばかりの子はどんな夢を見るのだろう。そんな想像をしながら空間演出をした。森の中で幼い頃の思い出に浸るように鑑賞を楽しんで」と話した。
ギャラリートークは6月12日にも開催(午後2時から)。会場内では自由に写真撮影とSNS(会員制交流サイト)への投稿ができる。会期は6月12日まで(月曜休館)。
お問い合わせは 金津創作の森美術館=電話0776(73)7800。
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