文化財の修理に焦点を当てた企画展が、福井県福井市立郷土歴史博物館で開かれている。10年間で修理されたものを中心に、刀剣や服飾など12点の修理前の状態や過程、作業の様子の写真を交え解説している。2月5日まで。
日本の文化財の多くは紙や木、絹などが素材で、経年劣化や虫食いなどにより損傷する恐れがある。定期的な修理を行い現在まで伝えられてきたが、展示された文化財からは、その過程などを知ることはできないことから企画した。
現在の文化財修理の方針は現状維持が基本。最後の福井藩主松平茂昭が使用した大礼服は、上着やズボンの縫い合わせ部分の損傷、汗染みなどの汚れがあった。クリーニングし、縫い目がほつれた部分を縫い合わせるなどした。
スパンコールが付けられている桐(きり)紋部分にも傷みがあったが、針を刺すとさらに傷む恐れがあり、今回は修理しなかった。新しい技法などが登場した際に直せるよう、現状のまま未来に伝えていくという。
このほか、虫食い部分を切り抜いた絹で補った書画や、刀身に生じたさびを研ぎ直し除去した刀剣などもある。担当者は「細部まで人の手による技が入った上で100年後まで受け継がれる状態になることを知ってほしい」と話していた。
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