越前和紙の原料の準備を含む作業体験を通して伝統産業をより深く知ってもらおうと県和紙工業協同組合は20日、コウゾの収穫と皮はぎ体験会を越前市今立地区で開いた。
同組合と県、越前市などが越前和紙産地の活性化のため進める「越前和紙 こうぞ・みつまたプロジェクト」の一環。広く行われている紙漉(す)き体験だけでない和紙づくりの一連の作業を、体験会に盛り込んだ。
県内から約15人が参加。収穫は同市千原町にある同組合員のコウゾ畑で実施。参加者は組合員から「コウゾは抱えて斜めに倒すと切りやすい」「切り口を南向きにすると新芽が出やすくなる」とアドバイスを受け、収穫に汗を流した。
終了後新在家町のパピルス館に移り、約125キロ分の蒸したコウゾの皮はぎを実施。蒸されるとやわらかく手ではぐことができるため、参加者は一本一本丁寧にはぎ取り、皮をザルに集めていった。
福井市から訪れた阪本結衣さん(啓蒙小3年)は「コウゾはサツマイモみたいなにおいで、硬くて収穫も皮はぎも難しかった。和紙が植物からできているのを初めて知った」と知識を深めた様子だった。
同プロジェクトでは昨年、和紙産地らしい景観をつくろうとコウゾと同じく和紙の原料となるミツマタの植樹を同市岩本町で行った。同組合によると、来年は県外の参加者を招いた1泊2日の越前和紙体験ツアーを開く予定だという。