福井県あわら市北潟湖の冬の風物詩、寒ブナ漁。地元漁師らが、湖に仕掛けた地引き網を人力でたぐり寄せる伝統漁を継承し、県内外に冬の味覚を届けている。
寒さで動きが鈍ったフナを群れごと捕獲するため、漁は12~3月に行われる。ことしは10日に初出漁し、千匹の大漁となった。
伝承するのは地元でただ1軒の網元茶谷嘉雄さん(50)。船に乗り、半円状に網をゆっくりと落としていった後、約15人の漁師らが、網に付けたロープとつないだ綱を腰に付け、後退しながら約1時間かけてじりじりと網を岸辺に引き寄せていく。待望の銀鱗(ぎんりん)が目に入ると、漁師らの手には一層、力が入った。
約40センチのマブナやヘラブナは刺し身や煮付けとして食される。漁は来年3月末まで続く。