福井県内の観光関係者らがもてなしの心得を学ぶ「観光おもてなし認定講習」。合格者は延べ500人に迫っている=2011年3月、福井県庁

福井県内の観光関係者らがもてなしの心得を学ぶ「観光おもてなし認定講習」。合格者は延べ500人に迫っている=2011年3月、福井県庁

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金沢開業控え 福井のおもてなし認定講習が人気

福井新聞(2015年1月24日)

 北陸新幹線金沢開業を3月14日に控え、福井県民の観光客に対する「おもてなし力」を向上させようという取り組みが進んでいる。今年5年目を迎えた県の「観光おもてなし認定講習」は受講生が徐々に増え、24日に福井市の県国際交流会館で行われる講習には宿泊施設や飲食店の従業員、タクシー運転手らから定員を超える申し込みがあった。本年度中に合格者が500人を超える見込みだ。県は3月に良質なサービスについて学ぶ「おもてなしスクール」も開き、機運の醸成を図っていく。

 宿泊施設や交通機関、飲食店の従業員をはじめとする旅先で出会った人の印象はその地域のイメージになりやすい。ただ、リクルートライフスタイルの「じゃらんリサーチセンター」が宿泊旅行者を対象にした2014年調査で、福井県は「地元の人にホスピタリティー(おもてなし)を感じた」の項目で全国40位と低迷。おもてなし力の向上は、福井県を訪れる観光客の満足度アップに向けた重要課題となる。

 県が10年度にスタートさせた年2回のおもてなし認定講習は、県内観光の講義と接客の実習を行った上で観光、歴史、食などの知識を問う試験を実施。正答率8割以上の人に認定証を交付している。これまでに642人が受験し、434人が合格した。

 24日に行われる本年度2回目の認定講習は、定員100人に対し約150人の応募があった。県の担当者は「おもてなしの重要性が県内にも定着してきたのでは」と歓迎する。

 坂井市三国町の芝政ワールドからは、現場で接客を担当する中堅スタッフ9人が初めて受講する。担当者は「金沢開業で県外からのお客さまの増加が予想される。現場のスタッフが県内の幅広い観光情報を提供できれば、サービス向上につながる」とみる。

 同町のNPO法人「ボランティアガイド きたまえ三国」からも10人が参加。池上三枝子会長は「県内全般の観光について学び、ガイドの幅を広げるいい機会。将来的にはガイド全員が合格できるようにしたい」と意欲的だ。

 さらに県は3月10日に福井市、11日に敦賀市で「おもてなしスクール」を開催。東京ディズニーランドの人材育成を長年担当し、現在は全国で社員教育研修を行っている青柳美智代氏を講師に招き、サービスの本質を学ぶ予定だ。

 県新高速交通活用推進室の猪嶋宏記室長は「せっかく観光客が増えても、受け入れ側のおもてなし意識が低いとマイナスイメージにつながる。リピーターの獲得にもつながらない」と危機感を抱く。事業者だけにとどまらず観光客と接する県民一人一人がおもてなしの意識を高めていけるかが、新幹線の金沢開業やその先の県内延伸に向けた大きなテーマになりそうだ。

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