「恐竜王国ふくい」を盛り上げたいと、福井市の男性2人が歌を作った。「フクイ」を冠した3種の恐竜名を巧みに織り込み、その盛衰にヒトは何を学ぶ? と問いかける哲学的な歌詞に付いたのは、弾むように軽やかな曲。ご当地ソングにとどまらない新鮮な愛唱歌が生まれた。
2人は、元県教育研究所長で教育総合研究所(東京)の研究員片桐哲郎さん(77)=福井市布施田町=と、シンガー・ソングライターの米藤ツトムさん(68)=同市西学園1丁目。「福井勝山 恐竜の里」と題し、デモンストレーション用のCDに収録した。
歌作りを思い立ったのは片桐さん。勝山市にある県立恐竜博物館の入館者が昨年8月に通算600万人を超えるなど、「恐竜の福井」が脚光を浴びるいま、誰もが愛唱できる歌で発展を後押ししたいと作詞した。
昨年10月初めに「一晩で」書き上げ、同博物館の東洋一特別館長の助言を得ながら手直し。旧知の仲の米藤さんに相談してテンポのいいポップスに仕上がった。
詞は3番まであり「女の子がある日見つけた石片(いしころ)に」と歌い出す。その石片が実は国内最古の恐竜の歯の化石だったという事実を歌っていて、科学する心があれば誰にも大発見の可能性があるとのメッセージを込めている。
教育者らしい示唆は、ほかにもいくつか。フクイサウルス、フクイラプトル、フクイティタンと、福井で化石が見つかった新種の恐竜名をちりばめたうえで「ヒトはそのころどこにいたの」「ヒトはそこから何学ぶ」と、深遠な問いをしのばせている。
九頭竜川を素材にしたものなど、これまでにも数作の作詞経験がある片桐さんは「恐竜は国際的な主題。長く歌い継がれるものにしたかった」と話す。一方の米藤さんは「『ヒトは―』のフレーズがあったからこそ引き受けた」と出来栄えに満足げだ。
米藤さんはプロモーションも手がけており「例えばAKB48のようなアイドルグループやユニットを組むなどして、この歌で福井県をアピールする仕掛けを考えたい」と構想を広げている。
♪ 「福井勝山 恐竜の里」 ♪
1.女の子が ある日見つけた 石片(いしころ)に
フクイサウルス 歯の化石
夢が広がる 大発見
恐竜の 足音響いた この里に
太古の歴史 今に見る
ここは 福井勝山 恐竜の里
2.靄(もや)がすみの 山あい近く ノシノシ と
シダやソテツの 中を行く
フクイラプトル 沼地にも
ロストワールド みんなの心に 広 がって
ヒトはそのころ どこにいたの
ここは 福井勝山 恐竜の里
3.フクイティタン 銀のたまごで 君 を待つ
首長しっぽ 特徴だ
陸の王者が 通り行く
白亜紀に 隕石落ちて 姿消す
ヒトはそこから 何学ぶ
ここは 福井勝山 恐竜の里