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国宝や重要文化財、宝物一堂に 福井の古刹「瀧谷寺」展

福井新聞(2015年3月11日)

 福井県坂井市三国町の古刹瀧谷寺(こさつたきだんじ)は創建以来、越前における真言宗の有力寺院として存在してきた。同寺の隆盛を物語る国宝や重要文化財などの宝物を一堂に紹介する展覧会が、福井市の県立歴史博物館で開かれている。

 瀧谷寺は1375年、睿憲(えいけん)上人によって開かれた。美作(現在の岡山県)に生まれ、紀州根来寺で学んだ睿憲上人は、修行のため中国に渡る途中で難破、越前海岸に漂着した縁から、同地に寺を構えた。同寺は中世以降、朝倉氏や越前松平家などの祈願所として保護を受けた。

 同展では、前後期合わせて約60点を紹介。18日までの前期は、「瀧谷寺の名宝」として国宝1点、重文2点を含む計7点を展示する。国宝「宝相華文磬(ほうそうげもんけい)」は、平安時代の金銅製の仏具。両面に「宝相華唐草」の文様を線刻、金メッキを施しており、平安期特有の優雅な趣がある。磬は、真言宗の法会で打ち鳴らして用いるため、古い品が完全な姿で残ることは珍しい。

 重文「絹本著色地蔵菩薩像(けんぽんちゃくしょくじぞうぼさつぞう)」(鎌倉期)は、高い山を背景に、左足をおろして座る地蔵菩薩を描いている。衣の装飾には金箔を薄く切った「截金(きりかね)」を貼りつけ、青や緑など多様な色も用いていた。現在では退色しているが、完成時は非常にきらびやかな画像だった。

 20日からの後期では、昨年県指定文化財となった瀧谷寺文書から、睿憲上人が残した書籍など約20点を紹介する。全国のさまざまな寺で修行した向学心あふれる人柄に迫る内容だ。

 ほかにも前後期共通で、真言密教に欠かせない曼荼羅(まんだら)や、一乗谷朝倉氏や羽柴秀吉らが寺領を安堵した書状など約30点を紹介する。

 「瀧谷寺の宝物 密教絵画と瀧谷寺文書」展は4月12日まで(11、19、25日、4月8日休館)。観覧料100円(高校生以下、70歳以上無料)。問い合わせは県立歴史博物館=電話0776(22)4675。

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