引退が決まったJRの豪華寝台特急「トワイライトエクスプレス」(大阪―札幌)の大阪発最終列車が12日、福井県を通過した。思い出や憧れが詰まった名物列車の"ラストラン"を大勢の鉄道ファンらが見守った。
午前11時50分に大阪駅を出発したトワイライトは、午後2時すぎに今庄駅付近を通り抜けた。線路脇には園児からお年寄りまで100人以上が集まり、深緑の車体の色に合わせて手作りした旗を振り、最後の雄姿を見送った。
卒業式を終えて駆け付けた今庄中3年の細川生羽(せいは)君(15)は「トワイライトのきれいな色が好きで、学校からよく眺めていた。ずっと今庄を通ってくれていたのに」と寂しそうに話した。
約200人が押し寄せた福井駅のホームには午後2時40分ごろに到着。1分間の停車後、警笛を鳴らして走り出すと、あちこちから「ありがとう」「さようなら」の声が上がった。
福井市の女性(79)は「夫と個室を利用して旅に出た思い出がある。食事もサービスも満点だった」と振り返った。日没後などの薄明かりを指す「トワイライト」の名の通り、車窓から望む日本海の夕日が印象的だったという。
JR西日本によると、トワイライトは1989年にデビュー。大阪―札幌の約1500キロを22~23時間かけ走り、四半世紀での総走行距離は約1900万キロ、およそ地球470周分に及ぶ。これまでの乗客は延べ約116万人。
上り最終列車も12日午後に札幌駅を出発、13日に本県を通過する予定。