初めて公開された菱田春草の未完成画「雨中美人」

初めて公開された菱田春草の未完成画「雨中美人」

長野県 伊那路 祭り・催し

菱田春草の未完成画公開 飯田美術博物館で特別展

信濃毎日新聞(2015年3月21日)

 長野県飯田市出身の日本画家、菱田春草(1874~1911年)が晩年に取り組みながら制作を中断していたびょうぶ作品「雨中美人」の未完成画が20日、市美術博物館で報道陣に初公開された。同館は21日から、春草の残したスケッチや下絵など約200点の資料を集めた特別展「創造の源泉菱田春草のスケッチ」を開く。未完成画を含む展示を通じ、創作の過程をたどる内容だ。

 未完成画は今年1月、春草の孫が都内の自宅で発見し、同館学芸員が未完成画であると確認した。

 特別展では、びょうぶから剥がされ、丸めて保管されていた計12枚の未完成画を伸ばし、横7メートル余の長さにつなげて展示。和傘を差す女性が描かれ、一部彩色されている。槙村洋介学芸員(49)によると衣服は墨、和傘は鉛筆で描かれ、下絵段階から筆記具を使い分けていたことが分かる。

 春草が晩年の作品の受注状況を記録した「製作控帳」も展示。昨年春に発見され、長く議論されていた作品の制作順序を確定する資料となった。春草生誕140周年に合わせて昨年から行われた調査で発見された資料も初公開する。

 36歳で死去するまでに「落葉」「黒き猫」(ともに重要文化財)などの名作を生んだ春草。作品ができるまでには膨大な量のスケッチ、さまざまな構想の下絵が作られていた。槙村学芸員は「名作ができるまでに時間をかけて準備していたことが実感できる」としている。

 特別展は4月19日まで。月曜休館。観覧料一般500円、高校生300円、小中学生200円。

今月のお得な国内ツアー びゅう

伊那路 ニュース