自宅にある天神人形を飾った三田村スミ子さん(右から2人目)ら=13日、福井県越前市蓬莱町のまちなかプラザ

自宅にある天神人形を飾った三田村スミ子さん(右から2人目)ら=13日、福井県越前市蓬莱町のまちなかプラザ

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越前府中が誇る天神人形を披露 江戸期作など20体

福井新聞(2015年4月15日)

 越前府中の時代から受け継がれる天神人形の企画展「武生天神アセンブル」が17日、福井県越前市のまちなかプラザで始まる。旧武生市には初節句の祝いに天神人形を贈る独特の風習があり、江戸末期の品を含め家庭などで保管されている20体余りを公開する。

 越前市観光協会が主催。表題にある「アセンブル」は、集める、組み立てるの意味。地域文化の一つである天神人形を集めて飾り、新しいまちなか観光の組み立てにつなげようと企画した。

 旧武生市には、長男が誕生すると初節句の祝いとして妻の実家が天神人形を贈る風習があり、起源は越前府中を治めた前田利家にあるとされる。前田家は菅原道真を祖先として崇拝していたため、領民も天神像をまつるようになったという。

 天神人形には、木彫りと陶製がある。木彫りの天神人形は明治から昭和にかけて孫渡しとして流行し、旧武生市内に天神人形専門の彫刻所が5、6軒あったという。

 開催を控え、13日には天神人形の組み立ての作業が行われた。作業に参加した三田村スミ子さん(77)=越前市余川町=は、家にある慶応元(1865)年から平成までの、7代にわたる天神人形7体を提供した。大きい物は台を含めると高さ1メートルを超える。7体中、6体が木彫りで衣装や刀に細かい彩色が施されている。

 三田村さんの家では、今でも毎年4月初めから5月5日まで、家の玄関や和室に飾っている。「天神様を見ると、心が豊かになる。今回多くの人に見てもらえるのはうれしいこと」と笑顔で話していた。

 同協会事務局の中桐充彦主任は天神人形について「旧武生市の人にとっては当たり前の品かもしれないが、実は貴重で、自慢できる存在。地域文化の再発見につながれば」と話している。

 同展は5月10日まで。

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