塗装され美しくよみがえった震災電車=福井市下馬中央公園

塗装され美しくよみがえった震災電車=福井市下馬中央公園

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「震災電車」の内部を公開 27日に福井でイベント

福井新聞(2015年6月16日)

 28日の福井地震震災記念日を控え、同地震を乗り越え市民の足として64年間活躍した「震災電車」の内部公開イベントが27日、展示されている福井市下馬中央公園で行われる。同地震を今に伝える数少ない"歴史遺産"で、主催者は「震災から復活した車両から、不死鳥精神を再認識してほしい」と話している。

 福井地震は1948(昭和23)年6月28日午後4時13分ごろ、現福井県坂井市丸岡町付近を震源とし、県内各地に甚大な被害を与えた直下型地震。マグニチュード7・1、福井市では震度7を観測し、県内の死者・行方不明者は3700人以上となった。震災電車は福井鉄道の前身「福武電気鉄道」が33(昭和8)年に導入。駅前通りを走行中に被災し、車体の大部分を焼失した。

 電車は残った台車やモーターに新しい車体を取り付けて奇跡的に復活。その後半世紀近く走り、97年8月に引退した。解体を惜しむ市民の声が強く、市が福鉄から譲り受けて98年から同公園で展示している。老朽化が進んでいたが、市公園課が昨年度から補修に着手しており、約130万円かけて塗装や、案内看板をリニューアルした。

 通常は施錠されており、内部公開は、鉄道ファンでつくる福井鉄道模型愛好会(福模会)が市と鉄道友の会福井支部の協力で実施する。福模会代表は「今の福井市の繁栄を支えた車両の一つ。震災で焼け落ちても復活し、再び走り出したこの車両から、福井市民が持つ不死鳥精神を再認識してもらえれば」と話している。

 車内には引退当時のポケットベルの広告や運賃表が残る。路線図は色あせているが、2010年に「赤十字前」と「仁愛女子高校」に改称された「福井新」と「裁判所前」など往時の駅・停留場名が懐かしさを感じさせる。

 イベントは午前10時から午後4時まで。入場無料。

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