蒸し暑い日が続く。爽やかな高原の風を感じてみたくなり、妙高市の妙高高原に向かった。スキー場で夏場も営業しているスカイケーブル(ゴンドラ)がある。妙高山(2454メートル)の中腹、標高1300メートルまで一気に登れて、眺めも最高だ。駅と観光スポットをむすぶバスの便数がもっと充実していれば、より多くの人が手軽に妙高を満喫できるのでは...と思った。
妙高高原駅は、北陸新幹線上越妙高駅からえちごトキめき鉄道で5駅目。駅からは秋まで期間限定で運行する周遊バスを使った。温泉街や直売所、自然体験施設など観光ポイント17カ所で乗り降りでき、1日乗り放題で大人500円。とてもお得だが、1日4本の運行しかないのが残念だ。
妙高高原駅から約10分ほどで、スカイケーブル乗り場に着いた。赤倉観光リゾートスキー場内にある赤い屋根のホテルが印象的な赤倉観光ホテルが運行する。大人往復1800円。地元の観光協会などに行けば割引券がもらえるという。
スカイケーブルの進行方向には妙高山、反対に目をやれば斑尾山や野尻湖、眼下には妙高高原の町並みが広がる。少し曇ってはいたが、雄大なパノラマに思わず息をのんだ。
標高1300メートルの降り口までわずか約11分。空気がすがすがしく、次々と降りてくる人たちから「わあ、涼しい」と歓声が上がる。標高700メートルの乗り場と比べても気温が約3度違うらしい。
すぐそばのレストランにあるテラスで、娘と孫とともに食事をしていた小野節子さん(62)=前橋市=は「昔はよく登山をしたけれど、今は体力に自信がなくて。家族3世代、都会の喧噪(けんそう)から離れて大自然を楽しんでいます」とほほ笑んだ。
1日2回開かれる散策会を利用し、ブナ林を歩いた。インストラクターによると、ことしはブナの実が多くなりそうだという。クマはおなかをすかすことなく冬眠できると思うと、ほっとした。
午後4時半頃、最終の周遊バスに乗り込んだ。行き先が関山駅だったため、40分ほどかかった。
でも、運転手さんが見晴らしの良い場所で速度を落とし、周囲の景色を紹介してくれて退屈しなかった。乗客が「まるで観光タクシーみたい」と喜んでいた。