北陸新幹線金沢―福井の先行開業を議論する与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームの検討委員会は6日、衆院議員会館で会合を開き、高架橋や橋の工期短縮を可能とする新たな工法案を協議した。岡田直樹委員長(石川)は「8月いっぱいをめどに、報告書を出すペースで(議論を)進めている」と述べ、委員会として月内に結論を出す考えを示した。
この工法は、高架橋などの部品を工場で造り、現場に持ち込んで組み上げる「プレキャスト工法」。会合に招かれた桝谷浩・金沢大工学部教授が提案した。桝谷教授は「最大で工期を半分にできる」と説明し、工場内の作業で天候に左右されにくく、現場での騒音を抑えるメリットもあるとした。建設主体の鉄道建設・運輸施設整備支援機構によると、過去の新幹線建設で同工法を部分的に導入した実績があるという。
また会合では、2019年度末に完成予定の九頭竜橋について、工期を短縮するため梅雨や台風で河川が増水する出水期(6月中旬から4カ月間)も工事を継続できないか議論した。国の通達で出水期は原則工事できないことになっているが、国土交通省は災害復旧などで工事継続を認めた事例を報告。出水期に九頭竜橋の工事を継続するには、仮設橋を高くしたり、増水を抑えるため川底を掘削するなどの対応が必要とした。
この日の会合では先行開業の議論のほか、敦賀駅の乗り換え利便性についても協議。現計画ではJR敦賀駅に併設される新幹線駅は8階建てビルに相当する地上24メートルの高さで、新幹線駅と現駅舎のホーム間の距離は約200メートル離れる形だが、利便性の向上に向けJR側から、両駅を「動く歩道」で結ぶことや、在来線のレールを新幹線駅の下に移動させ在来線ホームを新設する案が示された。
会合には本県から山本拓、高木毅衆院議員、滝波宏文参院議員が出席。山本氏はプレキャスト工法について「検討に値する」と述べた。滝波氏は「工事が遅れがちな部分に集中的に導入することで、全体的な工期短縮が可能になる」と期待を寄せた。