奥左側が10月供用となる駅西の駅前広場。右手前の仮駅前駐車場の半分ほどが公園になる予定だが、残り半分と中央付近の仮駅前広場の活用策はまとまっていない=福井県敦賀市鉄輪町

奥左側が10月供用となる駅西の駅前広場。右手前の仮駅前駐車場の半分ほどが公園になる予定だが、残り半分と中央付近の仮駅前広場の活用策はまとまっていない=福井県敦賀市鉄輪町

福井県 敦賀・若狭 北陸新幹線

北陸新幹線 レール敷設 準備進むも... 敦賀駅周辺は整備遅れ

福井新聞(2015年8月17日)

 北陸新幹線の福井県敦賀市内のルートを確定させる中心線測量が7月下旬に始まった。敦賀開業3年前倒し、懸案だった中池見湿地(敦賀市樫曲)付近のルート変更を受け、鉄路敷設の準備は着々と進む。しかし、敦賀市が主体となる駅周辺整備については、新駅前広場が10月オープンするものの、駅西地区の土地活用計画は白紙状態。新幹線駅と国道8号バイパスを結ぶ駅東地区の道路整備もめどが立たない。交流人口増加の受け皿づくりの観点からも急を要している駅周辺整備の課題を探った。

 ■ルート変更認可

 敦賀開業をめぐっては政府・与党が今年1月、3年前倒しして2022年度末を目指すことを申し合わせた。さらに5月には環境影響に配慮し、ラムサール登録湿地の中池見湿地を避けるルートへの変更が認可された。

 鉄道建設・運輸施設整備支援機構によると、地元説明を経て7月21日から市内で中心線測量に着手。並行して高架橋や盛り土などの概略設計を進め、年明けには道路や水路の付け替えについて市と協議を始める予定という。

 駅舎と敦賀車両基地については、JR西日本と設備・構造計画を協議している段階。駅西と駅東をつなぐ歩行者や自転車向け自由通路などの市主体の事業は、これらの構造計画が決まらないと具体化できないのが実情だ。

 ■福島第1が影響

 駅西地区の土地活用計画は、07年度着手の土地区画整理事業と並行し、市が検討してきた。対象は在来線駅の南西に位置する約1・7ヘクタールで、過去には商業施設や行政機関が入る複合施設案もあった。しかし東京電力福島第1原発事故の影響で、13年2月に計画が白紙になり議論は止まった。

 市は7月末に有識者や市民らからなる委員会を約2年半ぶりに開き、鉄道・運輸機構の敦賀事務所移転を説明。その中で、土地活用区域内の公園を、より駅舎に近い位置に変更することを報告した。ただ、全体の土地活用について具体的な展望は示せなかった。

 委員の一人でまちづくり会社港都つるがの田保英二社長は「新幹線駅のレイアウトを見据え、東西全体の整合性を考えるべきだろう」と話す。一方、会合では「土地区画整理事業は17年度で終わる。普通なら現時点で活用策を提案すべき」と、対応の遅さを指摘する委員もいた。

 市駅周辺整備課は「まずは駐車場、駐輪場、駅前交番、公園の4施設の配置を優先したい」とし、試案の検討を急ぐとしている。

 ■危機感

 もう一つの懸案、駅東地区は"手つかずの状態"といえる。

 市は都市計画マスタープランに基づき13年度、駅東地区と新幹線駅前広場の整備方針を決定。パークアンドライドシステムや嶺南地域の広域観光のターミナル機能、東西アクセス機能、自由通路整備などを盛り込んだ。

 本年度までに、国道8号バイパスと新幹線駅を結ぶアクセス道路の構想数種類を作成している。ただ、20億円とも試算される事業を市単独で担うのは厳しい。「骨格幹線道路」として県による整備を、3年前から求めているが事業採択に至っていない。

 開業3年前倒しで時間の余裕は全くなくなり、渕上隆信市長は「駅東を含めて、新幹線駅の周りの構想は喫緊の課題。今やらないと(開業に)間に合わない、ぎりぎりのところにいると思う」と危機感を表す。8月下旬に予定している県への重要要望で、これまで以上に踏み込んで要望する構えだ。

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