北陸新幹線金沢―福井の先行開業を議論する与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム(座長・稲田朋美自民党政調会長)の検討委員会は28日、衆院議員会館で会合を開き、2020年度の福井駅開業について「可能性はある」との報告書をまとめた。ただ専門家の検証もさらに必要とし、今後も政府与党で検討することを求めた。
これを受け、国土交通省は「福井県内での開業への期待を踏まえ、敦賀までのさらなる前倒し開業の検討も含め、早期開業に最大限努力する」との方針を示した。
検討委は報告書で、敦賀駅と福井駅での在来線との乗り換え利便性についても、最大限取り組むよう政府に要請した。
先行開業については、課題だった九頭竜川橋、手取川橋などの土木工事の短縮案を提示した上で「2年の工期短縮は可能」と明記。福井駅で折り返すための留置線の設置など、追加費用に関しては「金沢―敦賀間の工事費総額1兆1600億円の数%のレベルで(中略)コスト縮減によって賄うべきだ」と結論付けた。
ただ「専門家による検証などもさらに必要」とし、今後は政府・与党ワーキンググループで、16年度予算を編成する過程での詳細な検討を求めた。
一方、27日に発表した同年度予算概算要求で先行開業の費用を見送った国交省は、検討委の報告書を受け見解を発表。概算要求した「整備新幹線建設推進高度化等事業費補助金」で、前倒し開業や敦賀、福井駅の乗り換え利便性を高めるための調査を行うとした。
国交省の方針について稲田座長は「北陸新幹線のさらなる早期開業とともに、関西・中京圏との円滑な流動性を確保する上でも大きな前進。今後、(来年度予算が決まる)年末に向けて県民の皆さまと意見交換しつつ、心を一つにして成果を挙げるべく努力したい」とのコメントを発表した。
政府、与党は1月、敦賀開業の時期を当初予定より3年早めて23年春ごろとすることを決めた。その際、福井駅先行開業について「夏までに結論を得る」とし、検討委が3月以降、計14回会合を開き、技術的課題などについて議論を重ねてきた。