岡谷市、塩尻市、上伊那郡辰野町でつくる塩嶺王城(えんれいおうじょう)観光開発協議会は28日、「発酵」をテーマに3市町のワイナリーや酒蔵、みそ醸造会社を徒歩や電車で巡るモニターツアーを行った。製造業の現場を観光に生かす産業観光を振興するため初めて企画。親子連れら20人が参加した。
参加者は塩尻市のJR塩尻駅に集合。信濃ワイン(塩尻市)までの往復約6キロはウオーキングを楽しみ、ワイナリーでワインを試飲。電車で移動した小野酒造店(辰野町)では、日本酒を味わった。
喜多屋醸造店(岡谷市)では、同社が全国から集めた20種類のみそを試食。佐々木一夫社長(57)が、大量生産品に押されて岡谷市内のみそ蔵が減ってきたことなどを説明し、「全国一律ではないのがみその良さ。それぞれの味を残していきたい」と、手作りへのこだわりを語った。
参加者は、同社の佐々木愛さん(28)が育てた無農薬栽培の大豆を使って、みその仕込みも体験。ゆでた大豆をポリ袋に入れてつぶし、こうじや食塩が均等になじむように混ぜ込んだ。愛さんが、黙々と作業する参加者に「まるで職人のようですね」と声を掛けると、笑いが起こった。
参加した北安曇郡松川村の会社員伊東昌彦さん(54)は「いろいろな発酵の説明が聞け、違った物が味わえて面白かった」と満足そうだった。
協議会は、内容を検討しながら同様のツアーを今後も行っていく方針。