遠山郷と呼ばれる長野県飯田市南信濃、上村両地区に伝わる国重要無形民俗文化財「遠山の霜月祭り」が1日、南信濃中立の正一位稲荷(いなり)神社で始まった。釜の周りで氏子らが鈴などを手に舞ったり、両地区の若者有志らでつくる「霜月祭り野郎会」が「ヨーセー」などと掛け声を出したり飛び跳ねたりして、盛り上がった。
午後9時55分ごろ、大天狗(てんぐ)の面(おもて)を付けた禰宜(ねぎ)が登場。釜の煮え湯を素手ではじく「湯切り」が始まると、祭りの盛り上がりは最高潮に達した。地元に住む深尾ヒナ子さん(83)は「今でも霜月祭りを見ると心が躍る。若い人が祭りを盛り上げてくれて素晴らしい」と話していた。
霜月祭りは太陽の力が弱まる旧暦11月(霜月)に八百万(やおよろず)の神々を招いて生命の再生を祈る。今年は15日までに両地区の9神社で開かれる。