北区で特産化が進む「シルクスイート」は新品種のサツマイモだ。焼きいもにすると、ねっとりとした柔らかい食感と甘みが味わえる。葉タバコ栽培が盛んだった南浜地区や木崎地区などで栽培されている。
同区太夫浜の農業、神田守男さん(59)は2012年からシルクスイートを栽培し始めた。太夫浜を含む南浜地区は砂地で水はけがよく、糖度の高いシルクスイートができるという。
9月末ごろに収穫し、1カ月ほど熟成させて出荷する。シルクスイートは寒さに弱いため、神田さんは貯蔵庫が14度以下になると自動的に暖められるように設定している。
栽培に興味を持つ生産者も増えてきた。市によると15年の区内の栽培面積は約1・3ヘクタールだったが、今年は倍の約2・5ヘクタールまで広がる見込みだ。神田さんは「少しずつ規模を拡大し、安定した量を生産していけるといい」と話している。
区のシルクスイートの生産拡大やブランド力向上を図ろうと、地元の企業、個人が株式会社「エヌ・アグリ」を作り、昨年11月に同区葛塚で、シルクスイート菓子の専門店「絹いもや」を開いた。店内には主力商品の焼きいも(100グラム、税別150円)の甘い香りが漂う。エヌ・アグリ総務部の佐藤太志課長(33)は「やはり、焼きいもが女性に人気。リピーターもついた」と話す。
絹いもやでは今年、区内の菓子店と連携し、各店のシルクスイートで作った菓子を店内でも販売できるようにする予定だ。佐藤課長は「各店とともに、シルクスイートを北区の名物にしていきたい」と力を込めている。
<シルクスイート> カネコ種苗(前橋市)が交配、開発したサツマイモ品種。葉タバコ栽培が盛んだった北区南浜地区で耕作放棄地の活用を狙い、区農業委員会などが2012年から試験栽培を行ってきた。
区などでつくる特産物研究協議会は、新潟医療福祉大と協力してシルクスイートの商品開発に取り組んだ。健康栄養学科の学生がシルクスイートのケーキや和菓子などを考案したほか、区内の菓子店がアイデアを元にして商品化した。菓子は各店舗や、北区のPRイベント「キテ・ミテ・キタク」などで販売してきた。