多種多様な動植物の図画が並ぶ「美術の目でみる博物展」=20日、福井市美術館

多種多様な動植物の図画が並ぶ「美術の目でみる博物展」=20日、福井市美術館

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動植物や人体構造を図画で詳細に 福井市美術館、江戸から現代作品

福井新聞(2016年2月21日)

 「美術の目でみる博物展」(福井新聞社共催)が20日、福井市美術館で開幕した。動植物や人体の構造を詳細に描いた科学的資料をはじめ、少ない情報をもとに未知の動物を表現した創造性豊かな作品など、江戸時代から現代までの国内外の約130点を一堂に紹介。親子連れらが大勢訪れ、作品それぞれの時代背景に思いをはせながら「図画の博物館」を満喫していた。

 16世紀以降、欧州では自然の造形物を科学的に分析し、保存や記録をするようになった。日本でも江戸期以降、医学目的で正確な図を記録したり、外国の図鑑や版画を参考にして写実的に優れた図画が次々と描かれ、後世の多くの作家に刺激を与えてきた。

 展示会では、動物や鳥類、魚類、昆虫、植物、人体ごとに作品を紹介している。江戸中期の絵師、谷文晁(ぶんちょう)の日本画「犀(さい)」(1790年)は、情報の基となった北方ルネサンスの巨匠アルブレヒト・デューラーの木版画(1515年)と併せて展示。鎧(よろい)を着たような胴体や蹄(ひづめ)など当時、欧州の人々が抱いていたイメージが、遠く離れた日本でも信じられていたことが分かる。

 江戸末期に高木春山が20年かけて制作した「本草図説」は、全192巻のうち31巻を集めた。固有種から外来種まで多種多様な動植物を、岩絵の具を使って忠実に描写している。カッパなど空想上の生き物を表現した作品もある。横浜市のイラストレーター杉浦千里(1962~2001年)が、カニやエビを図鑑用に描いた15点も並ぶ。

 同級生と3人で鑑賞していた福井大附属小4年のアトキンソン大君は「江戸時代のものでも細かく立体的に描かれていた。絵から飛び出してきそうで、博物館や水族館にいるみたい」と驚いていた。

 同展は3月27日まで(3月14日までの毎週月曜と同22日休館)。一般千円、高校大学生500円、小中学生200円。関連イベントとして、2月21日と3月13日の午後2時から、担当学芸員の解説会がある。問い合わせは同館=電話0776(33)2990。

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