和菓子を通して湊(みなと)町の歴史と文化に親しんでもらおうと、新潟市中央区の西大畑・旭町地区にある7文化施設でつくる協議会「異人池の会」がPR冊子「和菓子の新潟」を作成した。老舗の看板商品や季節限定の和菓子を写真付きで紹介するとともに、店巡りを楽しめる町歩きマップを掲載。冊子の発行に合わせ、同地区の文化施設では3月まで関連イベントを企画している。
中央区の特色ある区づくり事業の一環。金巻屋(古町通3)、里仙(古町通13)、丸屋本店(東堀通6)、百花園(営所通)、念吉(沼垂東3)の老舗5店舗による季節の生菓子や、菓子作りへの思いを写真付きで紹介している。
和菓子の写真は、日銀新潟支店長役宅だった砂丘館や会津八一が晩年に暮らした北方文化博物館・新潟分館など同地区の文化施設で撮影した。菓子と関係が深い茶道や漆器の文化も分かりやすく解説している。
同地区で菓子作りが広がったのは、文明開化が始まった明治初期。東京や京都で技術を学んだ職人が店を構え、地主や名家から大量の式菓子の注文を請け負った。大正期にかけては女性の教養として茶道が普及し、頻繁に開かれた茶会を通じて菓子の文化が発展したとされる。
「異人池の会」事務局担当で旧斎藤家別邸副館長の横木剛さん(39)は「湊町ならではの菓子文化を知ることで、新潟の歴史に興味を持ってもらえたらうれしい」と期待する。冊子はB5判16ページ。5千部発行し、市内の文化施設などで無料配布している。
関連イベントとして、旧斎藤家別邸(西大畑町)ではパネル展「和菓子の新潟~式菓子と老舗の伝統」を3月21日まで開催。「安吾 風の館」(同)では、館長で写真家の坂口綱男さんによる写真展「新潟の和菓子を撮る」を同日まで開いている。