雄島隧道内の横穴の奥に立つ観音像。地元の人たちにより大切に守られている=福井県坂井市

雄島隧道内の横穴の奥に立つ観音像。地元の人たちにより大切に守られている=福井県坂井市

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神秘の岩穴に観音像 雄島隧道に永遠願い建立

福井新聞(2016年2月29日)

 福井県坂井市三国町安島にある岩山を貫くトンネル「雄島隧道(ずいどう)」。内部には自然の横穴が残っており、足を踏み入れると高さ約2・2メートルの観音像が厳かに立っている。像のいわれを知る人は区内でも少なくなったが、地元老人会によって大切に守られている。

 1963年に書かれた「ドンド平和観音建立発願文」によると、「ドンド」と呼ばれていた岩山には古来、住民が「神秘の岩窟(がんくつ)」とあがめていた海側から続く岩穴があった。隧道が通り、横穴としてあらわになった岩穴を見た住民が、穴の奥に像を置き「永遠の霊窟(れいくつ)」を願い建立したと記されている。

 発願文をだれが書いたかは不明。当時を知る荒野文男さん(83)は「昔地区内にあった寺に集っていた人たちの間で話が持ち上がっていた」と振り返る。現在の像を守る御堂(みどう)の石柱には「昭和57年」と刻まれており、このころ像を建て替えた可能性もあるが、定かでないという。

 地元老人会「安寿会」は毎年9月18日に「ドンド観音祭り」を営み、会員らが祈りをささげている。同会にも記録はなく、坂野上幸枝会長(84)は「分からない点もあるが長年大切に管理してきた像。信心あつい人が多いので、祭りを続けて守っていきたい」としている。

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