胎内リゾートの芸術・文化の一翼を担う「胎内市美術館」が28日、胎内市下赤谷にオープンする。民間の博物館から受け継いだ書画など約千点のコレクションを収蔵。市は「貴重な作品も多い。多くの人に見てもらいたい」と話す。
展示されるのは、市出身で、家電販売を営む北越ケーズ(新潟市中央区)の前身・北越電機商会を創業した故山本順さんによる収集品だ。1986年に胎内市本町に設立した北越美術博物館で公開してきたが、2012年の閉館後、親族が収蔵施設の建設資金の一部とともに寄付。市が美術館の整備を進めてきた。
美術館は木造平屋建てで、延べ床面積は約455平方メートル。建材の7割に地元産の杉材を使用し、総工費約2億2千万円をかけて建設した。市民の作品を展示するスペースや談話室も備える。
道の駅たいないに近接した胎内リゾートの入り口に位置し、日本海東北道中条インターチェンジから車で15分ほど。黒川郷土文化伝習館や胎内観音、樽ケ橋遊園といった文化施設が集まるエリアの一角をなす。
文人画家狩野常信の「破墨山水之屏風」や酒井抱一の「椿之絵」、金工師加納夏雄の「金蒔(まき)絵盆」などを常設展示。市ゆかりの歌人で書家の会津八一の絵と書を組み合わせた「自画賛」も並べられる。
山本さんの息子で、北越ケーズ名誉会長の邦彦さんは「父は阿賀北に文化拠点ができることをずっと望んでいた。収蔵品を後世に残し、思いを遂げられた」と喜ぶ。
市生涯学習課の伊東崇さんは「山本コレクションの価値は高い。多くの人に再評価してもらいたい」と期待している。
28日は午前9時から開館記念イベントを開催。黒川中学校吹奏楽部の演奏や、山本コレクションの鑑定に携わった書家、伊藤省風さんの作品解説などが行われる。
午前9時30分~午後5時。月曜休館。入場料は大人300円、小中学生150円。問い合わせは美術館、0254(47)2288。