初公開されている不動明王立像=福井県小浜市の福井県立若狭歴史博物館

初公開されている不動明王立像=福井県小浜市の福井県立若狭歴史博物館

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氏子が発見 平安後期の不動明王を初公開 若狭歴史博物館

福井新聞(2016年12月23日)

 福井県小浜市加茂の加茂神社で今夏、木造不動明王立像が見つかり、同市の県立若狭歴史博物館で初公開されている。約千年前の平安時代後期(11世紀ごろ)に作られたとされる像で、お堂にあるのを氏子が偶然発見したという。体つきが大きめで迫力があるのが特徴で、同館の学芸員は「若狭地方の仏像の奥深さを知ってほしい」と来館を呼び掛けている。1月15日まで。

 同神社は717(養老元)年の創建とされる。本尊は11世紀ごろの作とされる木造千手観音像で、国の重要文化財。また、1年間地中に埋めた木の実の発芽状況で、今年の農作物の作柄を占う「オイケモノ神事」(国選択無形民俗文化財)といった行事でも知られる。

 同館によると、不動明王立像は地元の氏子が境内の拝殿近くのお堂に入ったときにたまたま見つけ、7月に同館に連絡があった。神社に祭られた経緯などは分からないとしている。

 像は頭部から胴部までを1本の木材で作る一木造りとみられ、像本体の高さは117センチ。台座から、像の背後に炎を表現した光背までだと144センチになる。肩幅が広くがっしりとした体つきで、若狭地方の同時期の不動明王立像に比べるとふっくらした印象があるという。

 光背には墨で文字が書かれており、光背と台座は1893(明治26)年7月に作られたことが分かる。体の表面は青く、後から塗り直されたらしく、濱田沙矢佳学芸員は「衣の模様の金色が鮮やかなので、塗り直したのはそれほど古くない」とみている。

 7月に同館で開催した「不動明王」展では、濱田さんらが同市野代の妙楽寺で偶然見つけた平安後期の像を初公開した。濱田さんは「若狭は古い仏像があることで有名で、まだ地域に眠っているものがあるはず」と話していた。

 開館時間は午前9時から午後5時(入館は同4時半)まで。観覧料(常設展を含む)は一般、大学生は300円。高校生以下や70歳以上は無料。26日、29日~1月2日、10日は休館。問い合わせは同館=電話0770(56)0525。

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