約50年ぶりの改修工事を進めている上田市二の丸の上田招魂社で、長年飾られていた絵が修復され、上田招魂社総代会が6日、披露した。上田歴史研究会会長の阿部勇さんが調査したところ、明治新政府軍と徳川幕府軍が戦った戊辰(ぼしん)戦争の激戦の一つ「北越戦争」の舞台となった現在の新潟県小千谷市の風景と分かった。
阿部さんによると、1868(明治元)年の北越戦争では小千谷市付近で上田藩の11人が戦死。この時の戦没者を祭ったのが上田招魂社の始まりという。絵は縦120センチ、横170センチほどの油彩。1933(昭和8)年ごろ、遺族らの依頼で旧制長岡中学の教師が描き、奉献されたとみられる。上田招魂社総代長の池内宜訓(よしのり)さん(76)は「戦地に散った英霊たちに思いをはせ、これからも大切にしていきたい」と話した。
上田招魂社は、太平洋戦争にかけて犠牲になった上田小県地域の戦没者5936人を祭っている。上田城跡公園内にある現在の社殿は1923(大正12)年に建設。老朽化のため、屋根と床を改修し、耐震化した。改修費約5千万円は同地域の遺族会が中心になって寄付を呼び掛けており、現在は約3500万円が集まっているという。