初期から晩年までの作品が並ぶ特別展

初期から晩年までの作品が並ぶ特別展

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魁夷さん画風、変遷たどる 長野の美術館改修前に特別展

信濃毎日新聞(2017年4月3日)

 県信濃美術館東山魁夷館(長野市)は、改修に伴い5月末で休館するのを前に、日本画家東山魁夷さん(1908〜99年)の初期から晩年までの作品を展示する特別展「東山魁夷 永遠の風景」を開いている。同館は、東山さんのスケッチなどを含む作品960点を所蔵。このうち、展覧会への出品を前提に描かれた「本制作」の34点に焦点を当て画風の変遷をたどる。

 初夏の森林の中にたたずむ白馬を描いた「緑響く」(1982年)は、何色も重ねて緑の鮮やかさを表現し、幻想的な世界を描き出した代表作。茅野市の御射鹿(みしゃか)池が舞台で、74歳の時の作品だ。

 一方、15歳の時に油彩で描いた自画像(23年)や、19歳の時に伝統的な日本画の表現方法で描いた「牡丹(ぼたん)図」(27年)などは「緑響く」などと見比べると、色使いや構図が大きく異なる。

 東山魁夷館研究主幹の瀬尾典昭さん(61)によると、東山さんは戦争経験や世界各地への旅を経て「色の濃淡で構図を工夫するだけでなく、心象風景をも巧みに表現するようになった」と話す。晩年になると、秋や冬の風景画も増えるという。旅先から両親に宛てた手紙なども展示している。

 5月30日まで。午前9時〜午後5時(入館は4時半まで)。大人500円、大学生300円、高校生以下無料。5月3日を除く水曜日休み。

 東山魁夷館は5月末に休館。2017年度後半から改修工事に着手し、18年度後半に再び開館予定。

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